人生淡い希望と深い影のコントラスティング

作品

みなさま、おはようございます。
ヌエゴリラ、です。

今回は、ハラスメントゲームについて紹介したいと思います。

本作は2018年に放映された全9話のドラマで、スーパーを舞台にハラスメントをテーマにしたドラマとなります。小説版もありますが、今回はドラマについての紹介になります。

本作、筆者は結構好きで10周くらいはしてます(笑)。

魅力な点

ストーリー

かつてマルオーホールディングス本社の店舗開発部部長だったが、パワハラによって店舗勤務となった秋津あきつが、社長の一存で本社のコンプライアンス室長として呼び戻されるところから物語は始まります。

そこから、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、パタニティハラスメント、モラルハラスメント、アルコールハラスメント、リストラハラスメント、カスタマーハラスメント、メインでは扱われませんがジェンダーハラスメント、ハラスメントハラスメントなどなど、多種多様なハラスメントをテーマにした物語が展開されます。

まあパワハラ、セクハラ、モラハラあたりは有名かと思いますが、パタハラに関しては、筆者は本作で知りました。マタニティハラスメント、マタハラの打ち間違いじゃないですよ。パタハラは、男性労働者が育休とかを使った際に、就業環境を害されることを指します。マタハラの男性版みたいな感じですね。

物語を通して、これからよりコンプライアンスが厳しくなっていくであろう世の中で生きていくための勉強にもなりますが、そんな世の中で本作の作中人物のそれぞれの生き様が大いに表現されているのがいいです。

主人公の秋津は、ぶっちゃけて言えば古い人間ではあり、理屈よりは感情でぶつかっていくタイプの人間です。ハラスメントにうるさい世の中でも、彼は自分の生き方を曲げません。彼は作中において、「いつの間にか人の懐に入っていって、最後にはうまく問題を解決している」ような評価をされますが、まさしくその通りで、倫理道徳的にはどうなんだ?というやり方もあるのですが、なんだかんだ丸く収めます。

どの回も好きなのですが4話と5話が特に好きで、瞬間最大風速では7話での秋津夫婦のやり取りが好きです。

キャラ

本作、主役である秋津は、先述した通りのキャラで人たらしでもありかなり好きです。結構破天荒な発言や行動が多いのですが、率直で正直な物言いや行動に好感が持てます。「こんな人が上司ならいいなー」と思えるようなキャラだと思います。

彼の妻である瑛子えいこも相当いいキャラで、学生時代には煮え切らない秋津を本気にさせるために、興味のない男と嘘のデートをすると言ってみたり、秋津が隠し事や弱気を見せようものなら「それができなきゃ離婚する~」と脅しをかけたりします。こう書くと悪女っぽいですが、全然そんなことはなくて、すべては秋津に発破をかけるためであり、ここぞという時(先述した第7話のシーンなど)には秋津をストレートにしっかりと支え励ます場面もあり、個人的には『できた奥さん』だと思っています。夫の急な転勤にも文句を言いつつ単身赴任にさせずついていきますしね。物語中のハラスメント問題解決に行き詰まった時の秋津が解決策を見出すヒントは家族から得ることも多いです。家族からヒントを得る構成も好きです。

また、キャラとして好きなわけではないですが、物語中のキーマンであり物語を面白くさせているという意味で多大な貢献をしているのは、秋津のかつての同僚脇田わきたです。彼は徹底的なまでに合理的かつ冷徹ながら野心はあり、かつての同僚であった秋津を売ってまで専務に上り詰めました。派遣社員に気持ちよく働いてもらうために、彼女からの好意を無下にするわけではないがセクハラや不倫につながるリスクがあるため適当に受け流すし、仕事のスタンスは「誰も信用しないし、仕事を仕事と割り切れば苦悩することはない」という考えの持ち主です。秋津とはあらゆる面で対照的に描かれ、対立することも多い二人ですが、最後には2人で手を取り合って会社を救い、最後には脇田の人間味のある一面も垣間見えます。キャラとしては好きではない(嫌いなわけではないです)ですが、彼がいたことで本作は面白かったと思っています。

本作、その他にもいろんなキャラがいますが、好きになれるかどうかは置いといて、物語の中で役割がはっきりしているというか、キャラの動かし方とか見せ方が本作はうまいです。

響く描写

本作、ハラスメントをテーマにしているので「ハラスメントが厳しくなっていく世の中でどう生きていくか」についてはずっと描かれ、それに付随して描かれるシーンには心に響くものが多いです。

・部下に注意すらせず見放すことこそ、よほど冷酷で無慈悲なパワハラ
・昇進は山登りと一緒。身の丈に合わない山に登ってしまったら、あとは転げ落ちるしかない
・上に立つものは常に孤独と戦うしかない
・迷わなければ、部下はついてくる。そう信じることだ
・ここぞというときに正直に生きるほうが、人間として一回り大きくなれるんじゃないのか
・社員の人事なんて経営陣からすれば権力を誇示するためのゲームみたいなもの。そんなのを真に受けて仲間を裏切るな
・派遣社員は替えが利くからこそ、多少無茶な命令でも従うしかない
・どんな会社も、最後は社員次第

などなど、もう心に響くシーンが欲張りセットレベルであります。
正社員だろうが派遣社員だろうが契約社員だろうがアルバイトだろうが自営業だろうが、社会に出ているビジネスマンならどれか1つくらいは心に響くものがあるのではないでしょうか。

繰り返しになってしまいますが、第7話の秋津夫婦のやり取りはほんとに好きで、その場しのぎの問題解決ではなく、会社の本質から変えたい秋津の苦悩や葛藤と、それをしっかり受け止めた夫に発破をかける妻とのやり取りは何度見ても泣いてしまいます。

微妙な点

ややご都合的な展開

本作、それぞれのエピソードやラストにおいて、ハッピーとは言い難い結末になっているものもありますが、これに関しては人死にが出ているわけでもないし、筋は通っていて破綻しているわけでもないので筆者的には許容の範囲内です。救いようのないバッドエンドとかでもないですし、希望はちゃんとある終わり方です。

ただ、第4話のラストにおいて店舗開発部の平社員たちの掌返しと、最終話でナスキーパートナーに3億払ってまでマルオーを守った展開については微妙な展開かなと。

どちらも、リアリティーに欠けるのが理由です。
筆者のブログのヘビウォッチャーなら、「あれ?お前普段はリアリティーよりハッピーかどうかが重要じゃないっけ?」と思うかもしれません。

実際その通りで、大多数は気になるだろうなと思って挙げたというのが7割で、筆者は言うほど気にしていません。ただ、非現実的な世界観ならはっちゃけるほうが面白いのですが、現実的な世界観の話ならあまりに突飛な展開はいかがなものかと思うのも事実です。

それに本作、そこ以外は割とリアリティーあるからこそと思うのも理由です。たとえば、第1話では「パンに1円玉が混入した」事案が発生したのですが、この件はマルオーの社員がやったことだと判明します。これを世間に暴露すればマルオーの評判が著しく下がるため、世間には「調査の結果、パンに1円玉が混入した原因は不明。念のためそのメーカーのパンは自主回収する」と発表します。

道徳・倫理に欠けた展開ですが、リアリティーに関しては多分にあるでしょう。馬鹿正直に発表したって会社が倒産して終わり、それもまたリアリティーはあるでしょうが、そんなの見てて面白くないし、それと似た状況が現実で発生した場合、おそらく隠蔽されるでしょう。原因ははっきりしているので、その社員を改心させるか首にすれば二度と起こりえないですしね。ちなみに本作ではその社員は改心しました。

あとは、先ほど筆者が好きなエピソードとしてあげた第5話。こちらは不器用な中年男性社員が部下の女性社員に恋心を持ってしまい、飲み会を頻繁に開催。それに辟易した女性社員が出社拒否になってしまうところからはじまるエピソードですが、この5話は最終的に中年男性が部下の女性社員に告白して振られて終わります。これが成功するようならいくらハッピーエンドとはいえちょっと首を傾げてしまいますが、ちゃんと振られるあたりはリアリティーがあると言えるでしょう。

このようにリアリティーに関しては割とあるほうだったので、4話の手のひら返しと最終話の3億払ってまでマルオーを死守した展開はややひっかかるところはあります。

また、第6話はリスハラをテーマにしたお話で、自主的にやめてもらうために望まぬ系列会社への出向を命じ、しかし出向を命じられた社員が紆余曲折を経て退職せずに出向をそのまま受け入れたためにリストラが進まないという展開があるのですが、この話のラストも有耶無耶というか、別な方向に急展開していくため、「え、結局リストラ進まない問題どうなったん?」と思ってしまいます。一部先述した通り、もはやリストラが進むとか進まないとかそれどころの話じゃない展開になりますが、第6話時点ではそのような感想になってしまいがちになると思います。

まとめ

以上が、ハラスメントゲームの紹介でしたがいかがだったでしょうか。

筆者は新卒で入ったのがスーパーマーケットだったので、余計に感情移入などしてしまった部分はありますが、メッセージ性もある作品ですし、全ビジネスマンに1度は見てほしい作品だと思っています。

本作、TVSPもあり、こちらについてもそれなりには面白かったのですが、こちらもややリアリティーに欠けるというか、なんでそんな行動するん?みたいな動機と行動がちぐはぐな場面もあり、本編よりはやや微妙です。

主題歌はコブクロで、コブクロらしい結構いい歌です。YouTubeで聞けるので、ぜひ一度聞いてみてほしいです。

📚 小説版

『ハラスメントゲーム』はドラマと同名タイトルの小説も刊行されています。ドラマとは違う切り口でストーリーを味わいたい人におすすめです。
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唐沢寿明さん主演のドラマ『ハラスメントゲーム』は、現在プライム会員特典では見放題対象外ですが、Amazonプライム・ビデオでレンタル視聴が可能です。社会派テーマを痛快かつスリリングに描いた本作は、改めて今の時代にこそ響く内容です。
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それではまた、次回の投稿でお会いしましょう。

「がんばれ」もグレーゾーンな言葉で、場合によってはパワハラに当たるかもしれないのでご注意を。

※アイキャッチはAIで生成したものとなります。

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