みなさん、おはようございます。
ヌエゴリラと申します。
今回は、最高の教師-1年後、私は生徒に■された-を紹介したいと思います。
本作は、2023年に放送されたテレビドラマで、原作なしのオリジナル作品となります。
とある学校の教師である九条里奈は、卒業式の日に上階にある吹き抜け通路から突き落とされ、地面に衝突する寸前、タイムリープして1年前の始業式の日に戻るところから、話がスタートします。
魅力な点
ストーリー
タイムリープした里奈は、2周目の1年間が始まることを理解し、突き落とされたときに見た光景から、自身を突き落とした生徒が自クラスと判断、生徒と向き合っていなかったことを自覚し、教室の意識を改革していきます。
その過程で、よくあるいじめ問題から毒親関係、恋愛問題、特殊な環境にいる人や同性愛など、いろんな展開を通して、メッセージ性を視聴者に届けてきます。
たとえば、
・ハブられる恐怖っていうけど、そもそもいじめるような屑にハブられて何の問題があるのか
・居場所居場所っていうけど、居場所なんてそもそもあるものなのか、必要なものなのか
・そんなことないって切り捨てるのは簡単だけど、そうかもしれないって思った方がいいのではないか
などなど、いろいろあります。
教室の意識を改革するためなら、「なんでもする」を信条に掲げた里奈は、問題の解決方法も結構踏み込んだものが多く、教室の天井にカメラをサイレントで仕込み、いじめをはじめこれ以上何かしでかすなら、この映像を証拠として提出すると生徒たちを脅迫したり、毒親の元に訪ねて毒親に苦しめられている生徒を焚きつけたり、自身にできないことは素直に生徒に頼ったり、割とガチ目に手段を選ばずなんでもします。
こういう「本気」が感じられる展開、筆者はかなり好きなんですよね。
タイムリープしたことをかなり活かしているのも、本作が好きな理由の一つです。
タイムリープにしろタイムトラベルにしろ、時間を移動する系の作品ってタイムパラドックスを恐れてなのか、自分が時間を移動していることを隠すことって多いじゃないですか。これってぶっちゃけさほど意味ないよなあと。
もちろんケースバイケースではあると思いますが、時間移動する系って、基本未来を変えるためにするわけじゃないですか。じゃあ必要な時はむしろその事実を伝えて未来を変えるべきなのに、それを隠すってどういうこと?みたいな。タイムパラドックスを恐れるのはまあわからなくもないし、ましてむやみやたらに喧伝するものでもないのもわかります。でも、ここぞって時には自分が時間を移動してるって伝えた方がスムーズな場面ってあるはず。にもかかわらず、頑なにそれを守って状況を悪化させる展開を見るとストレスが溜まります。たとえるなら、後ろから津波が迫ってきても、赤信号守るのかって話ですよ。
その点、本作は必要とあれば「1周目の出来事=生徒にとっては未来の出来事」を必要とあればバンバン言っちゃいます。この合理さと本気度は本来当然であるべきですが、並のフィクションではそういう展開があまりないので、相対的にこの展開がよく見えちゃいます。
メインは学園ドラマなので、そこまで詳しく描写されませんが、夫婦間の問題と絆、大人の友情などもあり、それもまた面白いです。
豪華キャストと演技
筆者は人生でドラマを多く見ている方ではなく、俳優や女優に詳しいわけではありませんが、そんな筆者でもメイン級の役を演じている方がわかるレベルのキャスティングでした。キャスティングと演技力どちらにも驚いたのは、子役の時から有名だった芦田愛菜と加藤清史郎です。ぶっちゃけどちらも初見ではその二人とわからず、のちにそれがわかったときは時間の経過の驚きと同時に、あー確かに面影あるなあと思いました。清史郎君はかっこよく、愛菜ちゃんは美人に育ったなあと思いました。
で、その二人をはじめとして主役級の役者の演技力はさすがですね。この作品、結構泣くシーンが多いのですが、そのへんはマジでうまい。好きなシーンは、2話での毒親に対してのぶちギレ、3話での夫婦のやり取り、4話の告白、8話での加藤清史郎演じる相楽の教室での謝罪などです。
微妙な点
人の死
本作、この微妙な点さえなければ、個人的には2023年ベストどころか全ドラマの中でもトップ10に入っていたかもしれないレベルでした。
本作の最大の微妙な点、それは、芦田愛菜演じる鵜久森叶が死んでしまうことです。
筆者がハッピーエンドを求めすぎて、人死にが出るのが嫌だからこその微妙な点であり、話が面白ければハッピーエンドかどうかはこだわらない人にとっては、よくある展開の一つとして普通に受け入れられると思いますが、筆者的には、その後の展開を見ても絶対的に死ぬ必要性があった展開とは言えなかったので微妙です。
殺人系のミステリや、その死があったことにかなり大きな意味がある場合は人死にを許容できるのですが、本作はそれに該当しないと思います。
鵜久森叶の死は、いろんな人物に多大な影響を与えたのでその死に意味はありましたが、たとえば、意識不明の重体とかでもその展開はできたよなあ、と。そもそも、鵜久森叶は1周目でも死んでいて、かつ九条里奈と同じ2周目の人生を歩んだ人物なのですが、死を乗り越えられないって悲しすぎるし、2周目の意味……と思ってしまいます。
完璧なフィクションなど存在しないとは思っていますが、鵜久森が死ぬ前まではマジで特段の不満点もなく(強いて言うなら5話の話自体がさほど面白くはなかったが)、かなりの良作だっただけにとても残念でした。
里奈を落とした黒幕の動機
黒幕というか、里奈を突き落とした実行犯そのものは、話が進むにつれ消去法で分かると思います。
ただ、本作はあくまで学園ドラマであり、里奈を殺した方法にトリックがあるわけでもない。実行犯そのものや殺害トリックを当てることに重きを置いた作品ではないので、実行犯がわかってしまうことなどはマイナスポイントではありません。
そのかわり、動機については重要なファクターであると考えます。だからこそ、納得できる動機である必要があったのですが……いざ明かされた動機がピンとこなかったのは微妙な点と言わざるを得ません。
この実行犯、動機と同時に1周目では里奈を突き落とした後に自ら命を絶っていることも判明します。このことも踏まえて、筆者なりに実行犯の動機を意訳するならば「世界がおもんないから死にました。里奈を殺したのは八つ当たりです」みたいな感じです。
……いや、その動機がおもんねーよ!と。まあ別に気持ち自体はそれなりの人が一度では済まない程度には通った道でもあるとは思いますが、序盤や中盤の1エピソードのテーマとしてならまだしも、ドラマの大オチの殺人の動機としては弱いよぉー。そこまでの完成度が高いドラマだっただけに残念でした。
まとめ
以上が、最高の教師についての紹介ですが、いかがだったでしょうか。
ごちゃごちゃ述べましたが、総合的には結構好きな作品です。本作の6話までのサブタイトルのパターンは、「拝啓○○なあなたへ」であり、それをもじって本ブログと本記事のタイトルにしてしまうくらいには好きな作品です。
本作のサブタイトルの伏字についても、ちゃんと最終話で分かるようになってます。ちなみに、「殺された」ではありません。まあぶっちゃけこの伏字がわかったところで、ふーん、くらいにしかならないのですが……。
微妙な点については万人が抱く感想ではないと思うので、人によってはまさしく最高のドラマになりえるかと思います。
それではまた、次回の投稿でお会いしましょう。
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