長い夜を超えた絶景への期待が、弱男を生かしている

作品

みなさん、おはようございます。
今回は、『Dr.STONE』について、紹介したいと思います。

本作は、週刊少年ジャンプにおいて数年連載されアニメ化もされており、2025年1月現在、4期の1クール目が放送されています。

ある日、突如として降り注いだ謎の光線により、全人類が石化、3700年ほどの時を超えて石化から目覚めた主人公の千空せんくうが文明を築き、石化の謎に迫っていくというストーリーです。まあまあの人気作でしたが、ジャンプにありがちな引き延ばしもなく綺麗に終わった完成度の高い作品です。

魅力な点

ストーリー

繰り返しになりますが、本作の物語は謎の光線によって全人類が石化、3700年後に主人公の千空が石化から目覚め科学を駆使して文明を築いていくところからスタートします。

そこから本作は大きく分けて、

・文明を築きたい千空率いる科学王国vs既得権益者がいない今の世界を維持したい武力の帝国
・宝島
・vsアメリカ
・vs黒幕

の4章からなる物語になります。

vs黒幕までの話は、「今の世界や状態」を維持したいやつらとの対決が主です。よって、大筋はワンパターンだし、全人類協力して黒幕と対決するのが筋だろう、という若干のイラつきは常に付きまといますが、中身はなんだかんだ面白いです。

ジャンプで連載されていましたが、格闘によるバトルはあっても能力バトルになることはなく、ファンタジーなのは石化光線だけで、それ以外は徹頭徹尾科学で戦います。

物語の序盤は、原始的な木と森しかないような世界で生活基盤を築くところからスタートするので、それを見ていると今の文明社会のありがたみに気づけたりもします。

作中の人物が、どんなに絶望的な状況にあっても諦めないところや不自然な展開が少ない、見せ場の見せ方や演出、いろんな豆知識や考え方が見られるのも本作の魅力です。

キャラ

本作、なかなかにキャラが多いのですが、口癖や行動、特徴などでわかりやすくキャラ付けされているので印象に残りやすく、考え方なども十人十色なので見ていて飽きません。メイン級のキャラを何人か紹介します。

主人公の千空は、「唆るぜ、これは」「100億%」などが口癖で、とにかく合理的なキャラです。彼を中心として、物語は進んでいきます。

↑マウスで描いた千空です。ふざけた見た目じゃねえか!と思うかもしれませんが、白菜みたいな頭、赤い瞳など、マジでこんな感じです。目の上下にある線は、石化の影響で入った模様です。

ヒロインのコハクは、女子ですが戦闘力や機動力が高く、また、持ち前の度胸と11.0の視力で事あるごとに科学王国を助けます。口癖は「ハッ」や「おお困った」、「めっぽう」などがあります。

七海龍水ななみりゅうすいは、VS武力帝国が終わってから登場するキャラで、「ハッハー」や「当たるぜ、船乗りのカンは」、「違うか?」などが口癖です。「女性はみな美女」という考え方の持ち主で、おそらく世界一の強欲、石化前の世界ではお金持ちの家系だったこともあり、あらゆる経験をしてきたのが強みでもあります。

あさぎりゲンは、他人への呼称は男女問わず「下の名前+ちゃん」で呼び、「ジーマー(マジ)」や「ゴイスー(すごい)」など、一部単語を業界用語のように話す癖があるキャラです。石化前の世界ではメンタリストだったこともあり、交渉が必要な場面では大体彼が出張り、科学王国の窮地を救います。

ほかにも魅力的で特徴的なキャラはたくさんいますが、とても長くなるのでこの辺にしておきます。

微妙な点

黒幕の正体

物語の核心のため詳細は伏せますが、ちょっとがっかりと言えばがっかりな正体でした。誤解のないように言っておくと、展開的に矛盾があるとか、明らかにおかしいとかではありません。「なぜ全人類を石化したのか」なども腑に落ちる内容です。好みの問題でしかないレベルの話ではあります。

ただ、「これだけ科学科学言っておきながら、最後の最後はファンタジーに逃げたかー……」という感想にはなってしまいました。まあ、最初の石化光線自体がファンタジーなんだから、マジのガチで展開的には何もおかしくないどころか、むしろちゃんと筋は通ってはいるんですけどね。ただ、石化光線自体はファンタジーでも、それを放つ存在は……という気持ちでした。

気にならない人は「え、全然いい展開じゃん。何が不満なの?」と思うだろうし、気になる人は「それわかるわー」となるような展開になっていると思います。

やや非現実的な場面や展開

本作、科学科学言ってひたすらリアリズム路線かと思いきや、一部キャラが半分ファンタジーです。

たとえば、体力バカのキャラがいますが、その度合いが異常。素潜りを何百回もしないといけないような場面で、ほんの2、300往復すればいいだけだろー!と簡単に言うし、またあるキャラは、ライオンを素手で殺せる武力があるなど、現実的ではないキャラがちらほら出てきます。

ただ、筆者はフィクションなら、むしろリアリティーを重視しすぎて小さくまとまるよりは、多少はっちゃけてでも面白いほうがいいと思っており、本作はむしろ半分非現実的だからこその面白さがあると思います。

とはいえ、まったく気にならないわけでもないこと、最初の設定からやり直せば、もっと自然に展開できたのではという気持ちもあること、一般的な感性なら微妙だと思いそうなので微妙な点として挙げました。

あと、作中の人物がベストを尽くしすぎているのも、逆に気になる点でもあります。「なんでそこでそういう行動取る?」という展開があるフィクションはしばしばあり、物語を展開するためなんだろうなーなどと察することができてもイライラするものですが、本作はそれがない。不自然な展開がないことはストレスフリーでいいことなのですが、本作は敵も味方も最適行動を取りすぎていると思います。

「それの何がダメなの?」と思うかもしれません。別にダメじゃないんですが、リアリティーという観点なら、機械じゃないんだから最適行動取り続けるのもそれはそれで……という感じです。フィクションにリアリティーを求めすぎるのは野暮だと個人的には思っているし、あまりにも突飛な選択をする不自然な展開をされるよりは全然いいのですが、この塩梅は難しいですね。

まとめ

以上が、Dr.STONEのレビューですが、いかがだったでしょうか。

道中いろいろありますが、最終的にはハッピーエンドの良作です。筆者は人類讃歌的な作品はあまり好きではありませんが、本作を見ると「これまでの積み重ねがあって今があるんだなあ」としみじみ感じられる作品です。単純な娯楽やエンタメとしてだけでなく、原始的な世界から頑張るキャラたちを見てると、現代社会に生まれ生きている我々は恵まれているなあ、と思って生きる原動力にもなる作品になりえるとも思います。

それではまた、次回の投稿でお会いしましょう。

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